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場内が暗くなり、すぐにステージ向かって中央の前方付近へ歩いていくと、白い蚊帳の中に入ったメイナード(Vo)が1曲目の「Pet」を歌いだした。そのメイナードをはさみ、右側にはドラムのジョッシュが、左側にはジェームスがいる。だけどロラパルーザ公演の時のように、一段高いところにいるわけではなくて、ただ普通に、ギターのビリーとベースのジョーディーの後ろにいる感じ。その一段高くなった段差部分にスクリーンが用意されていて、トゥールよろしく様々な映像が映し出されていたのだけれど、リキッド・ルームではそれはなし。きっとロラパルーザ前の全米クラブツアーのときもこんなシンプルなステージだったんだと思うけど、それよりも何よりも、これまでのアルバムやライヴでのアーティスティックな、悪く言えばマニアックでただ気難しい感じの、APC独特なイメージとは異なり、音の印象がコンパクトなロックンロールだったのにはビックリした。普通にギターロックなので、とっつきやすいといえばとっつきやすいけど、APCらしさがちょっと陰を潜めてしまって、個人的にはちょっとばかし微妙な感じがした。
2曲目に「The Hollow」が来て、あっという間にメイナードの蚊帳が取り払われてしまう。だけどこの白い蚊帳、微妙にリキッドルームのサイズに合わないのか、支柱がなぜかちょっとばかし斜めに立っていたのには笑った。その支柱の間から顔を出したメイナードの姿は、やっぱり黒のランニングにアディダスのパンツで、基本的に自分の寝巻き姿となんら変わらない。
さて、パズに代わってAPCに加入したベースのジョーディーだが、元マリマンということを完全に忘れさせるほど、というかこないだ見た時には男気を感じたものだが、こうして近場で見てみると、なんだかオドケまくっているのばかり目立つのがやっぱちょっとばかし微妙である。右手をアヒルのような形にして意味不明のパフォーマンスを繰り返すこと数回。メイナードと漫才すること数回。ジェームスにちょっかい出すこと数回・・・・・・・・あーー、やっぱりパズの方がいいかも、と思ったのは自分だけかな?
やっぱ、メイナードから「ブレイクダンスやれ」と言われていたジェームスだけれど、今回はなんか歌を歌っていた。(ジャーニーの曲らしいけど、自分は知らなかった。)「Week And Powerless」の後だったか、メイナードはフロアを指差して「ノーフラッシュカメラ、プリーズ。ノーフラッシュカメラ、プリーズ」と言うなど、ちょっと神経質になっていた感じがしたけど、「また来年日本に来るかも。なのでみなさんアルバムを5枚買いなさい。」という冗談とも本気ともつかないメッセージをこの狭いライヴハウスのお客さんに対して残していった。
1時間余りの短いショーの締めくくりは、もはやお約束の「Judith」。3年前のフジロックの時と同じエンディングだったが、今回は結局アタマのカツラは取ってくれなかったメイナード。ロラパルーザではサビに入る時にカツラを取ってくれたのになぁ。
そしてメンバーが帰る段になった時、ジョーディーがビリーのレスポールを持ち出していきなりビートルズの「デイ・トリッパー」をプレイした。その後なんかのパンクソングをプレイした時にはドラムでジェームスが参加。んでもってギターのビリーがベースを担当し、ドラムのジョッシュが戻ってきてメタリカの「マスター・オブ・パペッツ」をプレイ。ハンドマイクを持ってモニタースピーカーに足を引っ掛けるなどヨロヨロになりながら「あんた歌える?あんた歌える?」とお客に聞きまわっていたビリーだったが、結局白人のオーディエンスか誰かがステージに上がって、歌えもしないメタリカを絶叫していた。その時にはすでにジェームスはステージにいなかったが、ジョーディーがパンプキンズの(かなりヘタクソな)「トゥデイ」を弾きだすや、ビリーが「じぇーーーーむす!」と叫びながら楽屋の方に走っていったのにはかなり笑った。
とまあ最後はただの宴会の余興みたいな感じになってしまったけど、「ものすごいライヴになるよ」と個人的にふれ回っていた割にはそうでもなかったのがやはり根本的にちょっと残念だった気がした。きっとハコ選びという点でもあまり正しいものではなかったのかもしれないけれども、ロラパルーザとは全然違った演奏の印象からしても、例のフジロックでの寂しい集客などを見ても、演る側と聴く側両方の立場から見て、やっぱ日本のライヴ会場でAPCの世界観を共有すること自体ちょっと難しいのかなぁといった気もしないではなかった。
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