Burps Online

Gig Report
BECK - プリンプリン物語? -
Zepp Tokyo - Tokyo - 2007/04/08

- PREVIEW -
 
会場へ向かう電車の中でこれまでに観たベックのライヴを指折り数えていたら、これが9回目であることがわかった。海外のフェスで3回、日本のフェスで3回、そしてこれが単独公演3回目にあたるようだ。「俺ってそんなにベック好きだったっけ?」と自問自答するのは毎回のことだが、特に最近のベックの曲にはあまり引っ掛かりを覚えないこともあり、もうひとつ積極的になれない自分がいる。でも、とりあえず楽しませてくれるだろうという予想と、実はこれが個人的に初めてとなるライヴハウス公演という期待とが相まって、大枚はたいてベックのライヴにまた来てしまった。
 
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- GIG REPORT -
 
今のベックファンの大多数に違いない社会人にもアクセスしやすい週末でありながら、武道館の追加公 演となったせいだろうか、思っていたほどの客入りではない。なのでいつものように最前列のブロック に入ってライヴ開始を待つ。


(Start - 18:25)

今日のライヴの(というかたぶんこのツアーの)目玉は、いわゆる Puppet 隊だろう。ステージ中央のベック(36)の後方で楽器も演奏しなければ歌も歌わない黒い一団が、ベック本人含むバンドメンバー全員の姿を模した人形(=Puppet)を、ベックの歌とバンドの演奏に合わせて操るのだ。ベックの後ろに鎮座した複数のクルーがハンディカメラで追うのは、バンドメンバーではなくてあくまでもその操り人形達。ステージ後方の大型スクリーンに映し出されるのも、バンドのプレイではなく操り人形の姿なのである。

スクリーンをよくよく見てみると、操り人形達の後ろにもちゃんと操り人形の超小型クローンを配しているなど、とてもディテールにも富んでいる。ボーカルラインに合わせて口はちゃんと開閉するし、ギターはコードカッティングもするし、ドラムのシンバルは叩けているし、マラカスは振られているわで、ぶっちゃけバンドメンバーを追っているよりもスクリーンを見ているほうが楽しい。そもそもバンドメンバー以外に操り人形隊&カメラクルーを専用で雇っているベックはすごいかも。

ボンボン、オサゲ、火星人を操るその黒子さん達の耳にはちゃんとヘッドフォンが装着されており、演奏されている曲をしっかりモニターしながらプレイ(?)しているようだ。ある曲では、スクリーンに赤字で「●REC - Puppet Cam」と表示されたかと思うと、ベック姿の操り人形の頭だか指だかに取り付けられた小型カメラがバンドメンバーを追っていた。とても荒い映像なのが逆にリアルで、客席にもしっかりとカメラが向けられていた。

さて肝心のライヴのほうだけれど、スライドギターとダルなドラムループで「Loser」からいきなり始まったセットリスト。しかしテープか何かを流しているようで、ベックが歌い始め、メンバーがプレイし始めたのは最初のコーラスが終わってから。そしてそのバンドセットに変わった途端、ぶっとく鳴り出したベースラインがとても気持ちがいい。

おなじみの黒と白のツートンカラーのギターから「Black Tambourine」が弾き出された。サブのドラムセットでツインドラムも鳴らしていたダンサーが、文字通り黒いタンバリンを振りつつベックに成り代わってフロアを煽っている。ベックのギターも小気味よく鳴っていてとても気持ちいい。しかしお馴染み「New Pollution」でそのギターの入るタイミングを少し間違っていたのは、ちょっと集中力を欠いていたのか?!それとも御愛嬌か?!

その後は「Girl」「Rental Car」「The Information」「Think I'm In Love」「No Complaints」「Motorcade」など「Guero」「The Information」という2つのアルバムからの曲が中心に並んだ。自分の知らない曲も何曲かプレイされた。黒いベストを着て白いテンガロンハットをかぶったベックのMCもステージアクションもほとんどなく、むしろ躍動的なベーシストと左利きのドラマーを中心としたバンドメンバーの卓越したプレイがステージを引っ張っていた感じがした。

そのベーシストが(いまどき珍しい)ヘッドなしスタインバーガーに機材をスイッチして「Devil's Haircut」が始まった。それまでにも「Minus」といった懐かしい曲も含まれていたけど、やっぱり「Loser」以降のベックを代表するナンバーといえば「Devil's Haircut」で、かつてのフロアはこの曲が始まるととんでもないことになっていたけれど、ファンもさすがにお歳を召してきたのか、今日の Zepp のお客さん達は極めておとなしい気がする。ほぼ最前列で見ていた自分の周りにさえ余裕で踊れる空間があるし。

楽しみにしていたベックの弾き語りアコギコーナーではピクシーズの「Wave Of Mutilations」を曲中に挟むなどの余裕もみられたが、「The Golden Age」か「Lonesome Tears」かなにかの時にコードを間違え「No!」と言ってやり直していたのが失笑を買った。フジロック 05 でも見せていたディナーセットにはさらに磨きがかかっていたが、テーブル上に水の入ったグラスがあるのに、その横になにげなく自分達で置いたペットボトルのミネラルウォーターをがぶ飲みしていたのが笑えた。

アンコール前には、「Beckzilla」と題された、おそらくこの日本ツアーオンリーと思われる人形劇が上映された。火を噴くベックゴジラが都内を暴れまわるという設定で、遠くには都庁ビルまで見えたが、やたらと立ち並ぶ五重塔に、外人が抱くステレオタイプなニッポンのイメージを垣間見た。

富士山に身を隠すベックゴジラが、バンドメンバーの乗る迎撃機を飲み込んでしまったところで、楽屋から嬉々としてステージに戻る本物の(?)操り人形達が映り、それをトリガーとしてアンコールがスタート。長年のお約束となっている「Where It's At」と、フジロックでも盛り上がっていた「E-Pro」で1時間半弱のステージは終了した。

(End - 19:50)


会場外に出るまでの押しくらまんじゅう状態には辟易とさせられたが、それを除けばまずまずのライヴだった。長髪で痩せこけたベックにかつてのオーラは微塵も感じられなかったけど、終始踊りながらステージ上のベックの姿を凝視するオーディエンスの暖かい眼差しが印象的なライヴだった。
 
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Last updated: 2007/04/08