Burps Online

Gig Report
ERIC CLAPTON - ドラッグストア・エリック -
Sendai Grandy 21 - 12/08/01

   
- PREVIEW -
 
仙台にクラプトンがやって来る! 

福島の実家を離れて以来、ジェフ・ベックといいオアシスといいウィーザーといいグリーン・デイといい、実家にいた頃にはとてもとても考えられなかった大物外国人アーティストが次々と仙台でコンサートを開いている。5、6年前にパール・ジャムが仙台に来たぐらいで、あとはイングベイマルマルスティーンとミスタービッグと叔父いオズボーンぐらいしか記憶にない。これもやはりZepp Sendaiというソニー直結のライブハウスができたことと、今日の公演が行われる巨大アリーナ=グランディ21というオオばこが用意されたことが大きいのかなと思う。もちろんコンサート誘致のために尽力されている地元の方々もいらっしゃるんだろうし、プロモーターも採算が取れるように努力してきたのかもしれない。

この日本滞在中に逝ってしまった盟友ジョージ・ハリスンのことを彼の中でどう整理をつけているのかを確かめに、ツアー引退説も囁かれているクラプトンの最初で最後の東北公演を、杜の都仙台まで追いかけてきました。
 
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- REPORT -

 
最寄り駅で拾ったタクシーの運ちゃんが、「今日は誰のコンサートなんですか?」と聞くので、まぁ知らねえだろうなぁ、しょうがねぇなあ、と思いつつ、「エリック・クラプトンです。」と答えると、「おー、クラプトンですかぁ!」という意外なレスが返ってきた。さらに彼の知識を裏付けるべく、「ジョージ・ハリスンも死にましたしねー。」という発言も飛び出す。その上、「わたし若いときに映画館でバングラデッシュのコンサートを観ましてね。なんでここにクラプトンがいるんだぁとビックリしましたね〜。」というこっちの方がビックリすることをおっしゃるこの白髪のタクシー運転手。俺だって映画館ではバングラデッシュは観たことないのに。 ほんと、チケットをあげたらこのまま喜んで一緒にライヴを見に行っちゃいそうな勢いで気分良く会場入り。

目茶目茶のどかな田園地帯に、突如現る巨大施設グランディ21。隣接しているサッカースタジアムでは、来年のワールドカップが開かれるらしいが、非常にいまどきの地方のハコモノらしいロケーションで、正確に言えばここは「仙台市」ではなく「利府町」というところである。

利府町・・・リフ町・・・ギターリフの町?

というわけで、ここにロックコンサートが開かれる必然性を見た気がするわけだが、代々木オリンピックプールを2/3ぐらいにしたようなグランディ21は、とにかく寒い!! 単に今日が寒いだけなんだろうけど、さすがオアシスの時に大雪になっただけのことはある。 特に自分がいた1階スタンドは激サムで、わざわざ着ていったジョージ・ハリスン with エリック・クラプトンツアーTシャツ1枚でいるなど到底不可能で、上着すら脱ぐこともできずにブルブル震えているこれってまるで野外? 野外のクラプトン、それもいいね!

外ではこんな異様なアナウンスもあった。「アーティストの意向によりー、1曲目から手拍子は禁止とさせていただきまーす。」 これ以前の公演で、クラプトンの気分をよほど害するような手拍子でも打ち鳴らされたのかだろうか? まあクラプトンのライヴで「ダイブ禁止です。」ってのも変だけど、「手病死するな。」ってのも前時代的でかなりいい。70年代前半のいにしえのロックコンサートみたいな感じでワクワクする。

開演時間の6時ちょうどぐらいに仙台クラプトンが登場。椅子に座りマーチンのアコギをフィンガーピッキングで掻き鳴らすEC。一瞬そのフレーズから「Malted Milk」かとも思ったが、「あがらき〜、とぅだはいうぇ〜ぃ」・・・「Key To The Highway」だ! んでもっていきなり頭を抱えるオレ。やられた〜。メチャメチャ巧いフィンガーテクに乗って、71年の名曲が利府の町にこだまする。そして早速2,3人ぐらいの人達が手拍子を打ち鳴らして場の雰囲気をちょっとだけ壊す。

次からはバンドが加わり、最新作「Reptile」からタイトル曲を演奏。クラプトンのギターはフルアコースティックかな? ジャジーなアダルティクラプトン面目躍如。 でもこの曲は好きじゃない。

今日はベースのネーサン・イーストの誕生日ということで、クラプトンから「ネーサンの誕生日なんだ。」という言葉と、数秒ばかりのバースディソングが彼に送られた。 そして「Reptileからの古い曲」ということで「Got You On My Mind」へ。 でもこのレイドバックソングもあまり好きじゃないんだなぁ。 バンドはまだ座ったまんまで、いわゆるアンプラグドな雰囲気でショーが進む。

そしてそのマーチンを持ったまま「Tears In Heaven」へ。メロディを若干いじりながら、流麗に曲が流れる、そんなTears in Sendaiに、「Bell Bottom Blues」のイントロが響き渡ると、場内のテンションが前半戦最大のピークを迎える。しかしこの曲を聴いているとどうしてもジョージ・ハリスンの「Something」を思い出してしまうのは自分だけだろうか? 

曲が終わり、そのまま流れるようにアドリブを聴かせたかと思うと、至ってスムーズに「Layla」のアコースティックバージョンへ。 考えてみれば自分がこのアンプラグドレイラをライヴで聴くのはこれが最初だったりするんだよなぁ。 でもこれもあんまり好きじゃないんだよなぁ。

バンドのメンバーをちょっとだけ紹介しておくと、スティーブ・ガッド(drs)、ネイサン・イースト(b)、アンディ・フェアウェザー・マザファッカー・ロウ(いちおう、Gという噂)という近年不動のメンバーに黒人キーボーディストが2人加わった形になっている。 でもあのキーボーディストってひょっとしてグレッグ・フィリンゲインズ?? また復活したの? と思っていたら、クラプトンが彼の名前を大声で呼んだ。 マイケル・ジャクソンのツアーメンバーの1人、というかマイケルのステージのプロデュースも手掛けるとんでもない人がこのグレッグ・フィリンゲインズ。 そういえばジェフ・ベックのツアーのサポートギタリストもマイケル・ジャクソンのバンドの一員だったっけ。

今日誕生日のネイサン・イーストにソロを弾かせながら、「Change The World」のイントロへ。コンテンポラリー路線の90年代型クラプトンソングの中では最も好きな曲なので、この個人的な期待を裏切らない選曲は嬉しい。 でもアコギ曲が続きすぎてそろそろ退屈気味になったのも事実なのだが、それよりも、ここじゃ手拍手禁止のはずなのに、手拍子しながら客を煽ってどうするグレッグ!

8曲目からはようやくエレクトリックエリックが復活。しかし彼が肩から下げているのは、ちょっとだけ後期クーラのクリスピアン・ミルズのギターを思い出させるような、妙なペイント付きマリンブルー色のストラトキャスター。これには正直ビックリ。目の錯覚かと思って何度も見直したがやっぱりそうだ。そしてなぜか前のアルバム「Pilgrim」からの曲を3連発。おととしの公演でも思ったけど、「She's Gone」はいい曲だ。もっとこういったタイプの曲をアルバムの中に増やして欲しいものだ。

クラプトン自体の調子はっていうと、まぁまぁって感じかなぁ。今まで聴いたことのないようなチョーキングの落とし方を見せたりして、おっ、と思う瞬間はあったけど、全体的に手癖フレーズばかりだったのが残念といえば残念。でも歌の方は以前にも増して巧くなったような気がする。

「Badge」「Hoochie Coochie Man」と代表曲を揃えてきて、スローブルース「Have You Ever Loved A Woman」を披露。「Cocaine」では大合唱とまでは行かなかったけど、女性コーラス隊のスキャットの代わりにキーボードソロが入った「Wonderful Tonight」での拍手喝采は今日1番大きいものだった。しかしこの辺の選曲は前回のツアーと全く同じで、はっきり言って新鮮味に欠けていて、自分は全然乗り切れなかったし、ファンが彼のライヴに対して望んでいることを捕らえようとしないこの姿勢 からも、彼がツアーに対する情熱を失っていることははっきりと分かる。

「Wonderful Tonight」が終わり、キーDのアドリブソロをチャラチャラ弾き始めて、「あー、ホワイト・ルームかサンシャインかな?」と思っていたら、「Layla」だった。「またレイラかよ!」と名村真っ青な突っ込みを入れたことは言うまでもない。こんなに持ち歌の多い人なのに、1晩で同じ曲を2回も演る必要はないじゃん!!と思いつつ、そういえばこの人は70年代前半にも「Layla」を1日2回やってたことがあったことを考えるとちょっとだけ納得。ジョージ・ハリスンの元妻パティ・ボイドを寝取ろうとして苦悩した曲だしね。アコースティックとエレクトリック両方聞けてお得と言えないこともない。なおかつこの曲のメインのフレーズを弾いていたのは、クラプトンでもなく、アンディでもなく、この時だけギターを抱えたサポートキーボーディストだったのでさらに笑えたし。(・・・んでもって結構ギター上手いし。)

アンコールの拍手をしている時、後ろにいた3歳ぐらいの女の子が「全然つまんなーい! アンコールの後って休憩?」とか言ったので思わず爆笑。確かに、アンコールやって休憩してその後また最初っからライヴってのもいいな、と思ってしまった。 その女の子も、アンコールの「Sunshine Of Your Love」ではもんどり打って踊りまくり、勢い余って前の椅子に足をぶつけて苦い顔をしていた。 ・・・可愛かった。

ノイジーな「Sunshine〜」が終わり、バイバイかな、と思っていたら、再び椅子が用意されてアコースティックセットに逆戻り。アコギの柔らかいコードストロークを繰り返しながら1人1人メンバーを紹介していくクラプトン。 激しいメイクラヴの後、その余韻と柔らかいキスをお互いに楽しむかのようにして歌われる「Over The Rainbow」。スケコマシクラプトンの真骨頂をここに見たり!というのが正直な感想。さすがテクニシャン。

とにかく東北でクラプトンを観られて良かった。セットリスト的には不満だらけだけど、笑顔溢れる東北のオーディエンスのお陰で楽しいひとときを過ごせてよかった。ジョージ・ハリスンの死も、彼の中でマイナスには作用していないみたいでホっとした。

クラプトン、ラストツアーに未練なし。 さようなら。 次は横アリ。




しげやんがまたゲットしたセットリスト。
[Slow Blues]とは「Have You Ever Loved A
Woman」のこと。日替わりで「Stormy Monday」が
入る枠。
 
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Last updated: 12/ 09/ 01