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Gig Report
KEISUKE KUWATA - ガンも撲滅したかった -
Pacifico Yokohama - 12/01/01

   
- PREVIEW: "A Mail From Shigeyan" -
 
しげやん@泊まり勤務中です。こんにちは。
スイマセン、用件のみですが。

以前お伝えしていたマッカートニー原稿、半分は出来ていましたが、ジョージ のことがあって以来、タイミング的に不適切かなと思い、留まっていました。

で、その代わりと言いますか…
12月1日に桑田佳祐のチャリティ・ライヴを見たんです。これがほぼ全曲ビー トルズのカヴァー、というトンデモナイ内容でして、もしよろしければこれの レポート(txtファイル添付しました)を掲載してもらえれば嬉しいんです が。

内容、偏っていることは承知してます。もし不適切なところがあったらご遠慮 なく教えて下さい。

ご検討、よろしくお願いします!

それではー。おやすみなさい。
 
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- REPORT: "Act Against AIDS 2001" -


(桑田佳祐 plays The Beatles「クワガタムシ対カブトムシ」)
 

桑田佳祐は毎年Act Against AIDSというチャリティ・コンサートを行っている。今年が9回目だが、趣味と独断でその内容が決まっているのは明白だ。7回目は「エリック・クラプトソ」で全曲クラプトン、8回目は「桑田佳祐が選ぶ20世紀ベストソング」(これは自分も行った)で、吉田拓郎からモーニング娘。まで幅広く網羅した邦楽・洋楽の名曲集。今年は…言うまでもない、ビートルズ・ナンバーのオンパレード。

観客の年齢層は幅広い。一番多いのは20歳台だろうが、下は小さなお子様から、上は40歳台。しかし、それなりに気合の入ったビートルズ・ファンばかり集まっているのかと思いきや、そういう雰囲気は皆無に等しい。それっぽい風貌で(というのもヘンな表現だが)ビートルズTシャツを着ていた人は2人見かけただけで、それ以外はどう見ても洋楽のライヴでは遭遇しないような身なりの人達。入場するときに前にいたOL2人組が戸惑いの表情を浮かべて「ねえ、今日ってビートルズの曲しかやらないって本当?」って言ってたくらいだ。

定刻より10分後。客電が落ち、会場内にいくつも用意されたビデオ・スクリーンには桑田扮した博士風の人物が登場する。明らかにジョン・レノンを意識しているのだが、似合わないマッシュルーム・カットにグレーのスーツ姿に身を包んでいる。ビートルズ、中でもジョン・レノンに焦点を当て、その功績を解説および音楽で振り返る、というライヴ構成のようだ。そして出てくるメンバー達、桑田以外にはギター2名・ベース1名・ドラム1名・パーカッション1名・キーボード1名とやや大編成だ。

オープニングはデビュー曲の"Love Me Do"、次いで"From Me To You""Please Please Me"と初期の名曲連発。ステージ上のルックスも当時のコスチュームで、楽器類もRickenbackerギター、Hofnerベース、Voxアンプなどお見事な再現。ついでに、曲が終わるたびにメンバー一同でお辞儀をするのまで真似しているのは丁寧過ぎ。"She Loves You""I Want To Hold Your Hand"とアップテンポな曲が続き、けっこう軽快な感じで進んでいたが、桑田がMCを取り、昨日この世を去ったジョージ・ハリソンについて語り始めた。

桑田は30秒の黙祷を捧げることを提案。
目を閉じていたら、スピーカーから流れてきたのは"Here Comes The Sun"。
その音は、まぎれもなく空の上から流れてきた。
もしかしたら上のスピーカーだけから音が出るよう細工されていたのかもしれない。
でも、自分には空の上から聴こえた。
目は閉じていたにもかかわらず、ジョージの笑顔が見えた。

あまりにも痛々しい展開。ジョージに多少なりとも思い入れがある自分は泣きじゃくる。ビートルズを経時的に追っていく進行のなか、しばらくは"A Hard Day's Night""Ticket To Ride"を聴いても、「あ、このソロをジョージが…」と考えると、もう前が見えない。

冷静さを取り戻してきたのは"Tomorrow Never Knows"に差し掛かったときだ。ビートルズがサイケデリック期に入り、歌詞内容がより鋭くなってきた頃だ。そもそも逆回転やらスタジオ技満載のこの曲をライヴで演ること自体スゴいが、それを見事に再現できる面々もスゴい。ミステリアスな雰囲気を醸し出す照明の中、フリーキーなギターソロが続く演奏は鬼気迫っているが、この曲を初めて聴くであろう観客大多数には明らかに濃すぎる。場内の雰囲気がスーっと冷えこんでいくのが明らかで、それは次の"Rain"で決定的となる。

しかし、ビートルズを知る人にしてみれば最高の展開だ。バンドには小田原豊(元レベッカ、dr)、美久月千春(スタジオミュージシャン、b)、中シゲオ(サーフコースターズ、g)、斉藤誠(サザンのサポートなど、g)など、日本のトップレベルのミュージシャンばかりで、演奏力には申し分なし。中でも、リズム隊は恐ろしいまでの気合い、思い入れが感じられ、フレーズの再現はとにかくお見事。長年ビートルズを繰り返し聴き、そして弾き通してきた人のみに許される最高の音だ。会場内の温度なんか気に留める様子もなく、バンドはますますヒートアップしていく。

時代は「Sgt. Pepper's」に移り、"Lucy In The Sky With Diamonds"〜"A Day In The Life"へ。特に後者の桑田の歌声はあまりにもエモーショナルで美しいのだが、単純に盛り上がれるような曲でもないし、会場の温度は完全に氷河期。次の"All You Need Is Love"では、ビートルズが発表時に行ったライヴ演奏光景を再現するプラカードが登場し(当時の映像見たことある人は分かるはず)、ついでにAIDSにちなんで巨大なコンドーム・オブジェがいくつも登場し、それなりに場は解凍モードへ。ここで自分はまたしても涙。何てったって、家を出てくる前、ジョージの死を知らせるTVニュースでこの曲の映像を見たばかりだ。ひどいよひどいよ、コンドーム・オブジェを見ながら涙がボロボロと流すとは。あまりにもシュール。

個人的に思い入れの強い"Strawberry Fields Forever"では、その完成度にまた感動して涙を流し、しかし次曲はその歌詞にて自ら"Strawberry Fields"を否定した"Glass Onion"と続き、ニヤリニヤリ。"Yer Blues""Revolution""Hey Bulldog"とアップテンポが続き、会場の空気が少し温まったところで"Come Together"、そしてとうとう"Across The Universe"にまで到達し、ビートルズが幕を閉じた時点でメンバー達はステージを去った。

しかし、アンコールを求める声は妙に少ない気がする。桑田佳祐の作品を期待して来た人にとっては明らかに肩透かしな内容なのがここでも伝わってくる。しかし、そんな状態にもかかわらず、次の曲がスゴい。鐘が鳴り響き、桑田が体を振り絞ってシャウトする"Mother"。サザンでは絶対聴けない魂の叫び。

続く"Imagine" "Woman" "Starting Over"はそれなりに認知度が高く、原由子が登場した"Happy X'mas"ではいわゆる盛り上がり状態になっていた。しかし、背後で流れる映像はニュー・ヨーク・シティーとアフガニスタン。そういう意味でまたまた涙が流れ落ちるのだ。

最後の最後にはビートルズがカバーしたロックン・ロール・ナンバー、"Rock'n Roll Music"。曲を知らなくてもこれは単純に楽しめる。これまでのメッセージ性も温度差も悲しみも全てふっとばしてダンスダンスダンス。

曲が終わりメンバー達がステージを去り、桑田一人が残る。そして、挨拶を述べた後、とんでもないことが起きた。カラオケをバックに、ソロ曲"白い恋人達"を歌ったのだ。

その瞬間、すさまじい違和感が生じた。その曲を最後に桑田はステージを去ったが、こちらは最後の数分間に生じた複雑な気持ちを拭い去れないままライヴが終わった。

日頃サザンオールスターズという国民的バンドに20年以上所属し、ミリオンセラーがデフォルトとして求められている桑田佳祐。たとえチャリティであっても、自分のソロなりサザンの曲を演れば客が喜ぶのは目に見えている。しかし、それをあえてせず、自分のやりたいことに徹底的にこだわり、その中でのアーティスト性を追及する…そういう桑田が果てしなくカッコ良いと思った。どこぞのトリビュート・アルバムや寄せ集めチャリティなんかとは全く別次元への、アーティストへのリスペクト。"Tomorrow Never Knows"、"A Day In The Life"、"Across The Universe"、"Mother"を演奏する桑田にはオーラすら見えた。伝説的とまで言えるほどの名演奏だった。言うまでもなく、桑田だってジョージの件は少なからず動揺したはずだ。それを吹き飛ばそうと全神経を集中させた、というのは観客側の勝手な思い込みなのか。

こんなことを言う自分があくまでも少数派であること。そして、最後の数分間だけが満足の瞬間だった人だっていること。それはよく認識している。

ただ、一つ言えることは…最後の数分間がなければ、このライヴの印象も全く違ったものになっていた、ということだ。ちょうど10年前、ジョージ・ハリソンがいたこの街でのライヴが。


Love Me Do
From Me To You
Please Please Me
She Loves You
I Want To Hold Your Hand
All I've Got To Do
Not A Second Time
Little Child
I Should Have Known Better
A Hard Day's Night
No Reply
Baby's In Black
Eight Days A Week
I Feel Fine
Help
You're Going To Lose That Girl
Ticket To Ride
Norwegian Wood (This Bird Has Flown)
In My Life
Nowhere Man
Tomorrow Never Knows
Rain
Lucy In The Sky With Diamonds
A Day In The Life
All You Need Is Love
Strawberry Fields Forever
Glass Onion
Yer Blues
Revolution
Hey Bulldog
Come Together
Across The Universe

Mother
Woman
(Just Like) Starting Over
Happy X'mas (War Is Over)
Rock'n Roll Music
白い恋人達
 
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Last updated: 12/ 07/ 01