Burps Online

Gig Report
 
FOO FIGHTERS - 短時間に色んなロック -
Makuhari Messe - 2003/02/08

- PREVIEW -
 
この時期に、オーストラリアでは、毎年「ビッグ・デイ・アウト」という都市周遊型フェスティバルが開催されている。英米の大物が集うこのフェスに目をつけたスマッシュが、今年から「冬のフジロック」みたいな感じで開催を始めたのがこの屋内ワンナイトフェス「マジック・ロック・アウト」。もちろんターゲットはその「ビッグ・デイ・アウト」に参加したのち、帰国の途に付こうかとする英米のバンド達であり、今回はフー・ファイターズを頭としてウィルコ、クレイジー・タウン、デス・イン・ヴェガスといったかなり個性的な面子を集めて、第1回「マジック・ロック・アウト」が開催された。
 
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- GIG REPORT -
 
赤坂ブリッツのディスターブドのライヴが終わってから地下鉄に飛び乗り、東京駅で乗り換えてから一路海浜幕張まで向かったのはいいけれど、やっぱなんだかんだで出発から到着まで1時間半ぐらいかかってしまった。おまけに駅の周辺から会場まで歩っている人はまばらだし、一瞬「マジロック、中止?!」とか思ってしまったぐらいだった。

そして会場の幕張メッセ1番ホールに入ってみると、やっぱりまずそのお客さんの少なさにビックリ。いや、少ないというと語弊があるかも。休むスペースがしっかりと確保されている、と言ったほうがいいのかもしれないが、とにかく開場から4時間ぐらい経っているのにまだコインロッカーが空いていた。それもかなりの数が空いていたのでこれまたビックリ。そもそも荷物を預ける場所がなくても困らないようにアウターなし&バックパックなしで会場まで来たので、コインロッカーに入れておく荷物がなくて困った。

Crazy TownやRadio 4、それからBack Drop Bombなんかのプレイはすでに終わっていたので、最初に観ることのできたバンドが「Arlo」っていう4人組のグループだったんだけど、この直前にブリッツで観たディスターブドに較べると余りにも頼なく見えてしまい、なおかつ音もかなりアマチュアっぽく聞こえてしまったので、すぐにマッタリスペースへと退散。そしてそこでビール片手に出店をチェック。でもそこにはそんなに興味のあるものはなかったし、最悪のことを考えて会場入りの直前にコンビニで軽食をとっていたいたので、その出店を見てお腹が鳴ることもなかった。

しかしそれにしても同じ会場でおととしに参加したエレクトラグライドの時に較べてみると、快適ったらありゃしない。あの時は人の間をぬって進むのに一苦労、座る場所に一苦労、ドリンクをゲットするのに一苦労、なおかつ飯もゲロマズ&ゲロ高で一苦労、って感じだったので、それに較べりゃもうコリャ天国ですよ。 去年のフジロックもこうだったら良かったのになぁと思った。まるで2000年のフジロックみたいだな、これは。


● ウィルコ

さて、次のウィルコが始まるのでライヴエリアへと移動。一緒に居たさなえっちはかなり前の方に行ってしまったようだけど、自分は真ん中ちょっと前ぐらいのところで見ることにした。もう「ウィルコは地味だ」ってことばかり聞いていたし、自分はそういったマニアック嗜好が嫌いなのであまり期待してなかったんだけど、前日に大阪のマジック・ロック・アウトで彼らのライヴを観たこうさんからのメールを読んで、少しばかり彼らのライヴへの期待度はアップしていた。そして、結局のところ、ウィルコのライヴにはかなり満足することができた。

なにせウィルコのドラマーがスバラシすぎ! ギター&ヴォーカルx1、ベースx2、キーボードx1、キーボード兼ギターx1、そしてドラムといった編成なんだけど、もう最初のタムとバスドラの音を聞いただけで「どうもすみませんでした!」となるぐらい、音のキレ、張り、リズムともに素晴らしく、もうその時から俺の視線の先にはそのドラマーしかいなかった。なにせ叩き方が変! キーボーディストが2人もいるのに、なんでドラムを叩きながら鉄琴を叩くの! バスドラでリズムを刻みつつ、右手でハイハットとスネアを交互に叩きつつ、それとは全然違うリズムで鉄琴を左手で叩くという、ツーバスドラマーも真っ青な変態プレイ。 アメリカのいわゆる地味渋なバンドの中にも、こんなプレイヤー達がウヨウヨいるんだろうなぁと思うと、やっぱりアメリカのエンターテイメントってすごいやーと改めて実感。アメリカには、ディスターブドのようなバンドもあれば、ウィルコのようなバンドもいるんだね。やっぱすごいな。

曲の方も、「地味」と言われている割にはそうでもなく、結構メリハリがあって、ロックンロールなノリで臨んでもかなり楽しめた。 もちろん「誰か結婚してくれないかぁ? そうすれば日本を離れなくてもよくなるからさぁ〜。」というホノボノMCには顔を引き攣らせるしかないんだけど、とにかくドラムを中心としたプレイヤビリティの高さには驚かされた。 ほとんどを占めていたと思われるフーファイ待ちのお客さん達もそんなに退屈せずに済んだんじゃないかな。

で、ウィルコが終わると、フジロックでお馴染み=スマイリー原島氏の「いぇーーーーい! まじっくろっくあうとぉ〜〜! みんな楽しんでるか〜〜い!?」という絶叫MCが聞こえてきた。 自分、この人のMCはかなり微妙だと思っていたのだが、しかしよく考えてみると、杓子定規な冷徹アナウンスよりも、ましてや学生バイトの拡声器ボイスなんかよりも、少なくとも全然いいよなぁ。ちょっと有名なVJとかが出てくるのもイヤラシイ気がするし、これはこれでスマイリー原島氏はアリなんじゃないか?って思えたのもマジロックの収穫だった。そもそも、「夏はフジロックで冬はマジックロックアウトォ〜〜!!」というアナウンスが、「そりゃ単におめぇのことじゃねぇか。」っていうツッコミを許すぐらい、大きな懐の深いものに聞こえたのが素晴らしかった。 だから、もうちょっとガンバレ、スマイリー原島さん。


● フー・ファイターズ

で、フーファイ。 自分は最後方でマッタリしつつ余裕を持ちつつ見るつもりだったんだけど、なんかお客さんの密度があまり濃くないので、結局真ん中辺りまで移動。 最後の方はもっと前の方まで行ってしまったけど、もうライヴの中身の方には満足としか言いようがなかったっす。こうなるともうとにかくあれですね、完全に例えを間違っているかもしれないし、それを実感として捉えてくれる人も少ないと思うんだけど、フーファイのライヴってまるでヒューイ・ルイス&ザ・ニュースのそれみたいですね。 当たり外れのないコンサート。絶対に楽しいに決まっているコンサート。陽気で楽しいアメリカンエンターテイメントをたっぷりと見せてくれるコンサート。 レッチリをブルース・スプリングスティーンとするならば、やっぱフーファイはヒューイ・ルイス&ザ・ニュースですな。

詳しいことはもう忘れかけているのであれなんだけど、ボーダーシャツに身を包んだ軽装のデイヴ・グロールが弾き始めたのは、アルバム「ワン・バイ・ワン」の1曲目「オール・マイ・ライフ」。でかい会場なのに、出てくる音からはそんなにパワーを感じることができなかったんだけど、それでもやっぱもう場内は大盛り上がり。それに応じるかのようにデイヴも絶叫に次ぐ絶叫。3曲目ぐらいのところでステージ後方の垂れ幕が、それまでの「FF」仕様のものから一転して「One By Oneのハート」仕様に変わったんだけど、この瞬間にもフロアは大歓声。「マイ・ヒーロー」はやたらと懐かしい感じがしてなかなか和んだけど、「昔の曲をやるよ。俺らはともかく、キミらは好きな曲なはずさ。」って感じのMCの後で「ラーン・トゥー・フライ」をプレイされた時には、やっぱりフロアはすごいことになってたなぁ。

お客さんが持っていた「NO WAR」と書かれたカードを持ってステージに仁王立ちのデイヴ。「もうこれに付け加えることは何もないよ。自分が言いたいことのすべてだ。」という彼の言葉は、ショー自体がいかにもアメリカチックなものだったので、ちょっと自分には皮肉っぽい感じがしたな。

個人的にすごくうれしかったのは「ヘイ、ジョニー・パーク!」と「アップ・イン・アームス」の2曲。特に「アップ・イン・アームス」は自分でプレイしていても楽しい曲だし、まさか演ってくれるとは思っていなかったので、ちょっと感動。同じアルバムに入っている「モンキー・レンチ」はちょうどショーの半ばぐらいにプレイされたけど、もうほとんど原型をとどめておらず、盛り上がりそうなところをわざわざドラム抜きにしてみたり、また途中でフリーな感じのジャムを入れてみたりして、なんかもうフーファイ的プログレって感じだった。「スタックト・アクターズ」なんかもそんな感じだったな。

日本酒の入った小さなグラスを手にして、「俺は熱燗が好きなんだよ。」と言うデイヴ。それを見た前の方のお客さん達からは一斉に一気コール。「ヒッキってどういう意味?」と聞くなり、チョビっとだけその熱燗を口にしたデイヴ。 本当に熱燗が好きなのかね?この人は。

「タイムス・ライク・ジーズ」「エヴァーロング」などを経た後、自分の腕時計を指しながら「本当にこんな時間までありがとう。マジで遅い時間だよ。この後も色んな音楽があるから楽しんで行ってね。」みたいなMCを挟んで最後の最後に「ブレークアウト」。この時にはかなり前の方に来ていた自分だったけど、あんまり人口密度は高くなかったので快適だった。


● デス・イン・ヴェガス

フーファイが終わると、すぐにリチャード・フィアレスのDJプレイが始まったんだけど、もうこの時ですでにフロアは閑散としていた。 そしてステージ後方の巨大スクリーンに導かれるようにしてバンドが登場。 デスベガは、アルバムひとつを試聴したことがあるぐらいでほとんど知らないと言ってもいいぐらいなんだけど、1曲目は意外にもかなりハイパーなデトロックガレージっぽいのが来たので驚く。でもメンバーの動きが非常に少ないため、後ろで見ていると退屈するかも、と感じたので、思い切って最前列に行くことにする。 でも、ほんと正直なところ、どのメンバーがリチャードかも分ってないし、ベーシストがベースを弾かなくてもベース音は聞こえるし、ギターはやたらと単純なコード弾きしかしてないしって感じで、ここまでギターロック一本で来た自分の耳には若干の違和感があったのは確か。 だけどオアシスのリアム・ギャラガーが参加していた曲を、そのボーカル部分も含めてグチャグチャにアレンジしていた辺りからだんだん盛り上がってきて、最後の方ではちょっとだけ踊っちゃってた。 多分あれがリチャードだと思うんだけど、彼が指でドラマーに合図をすると、ドラマーが太鼓を叩き始め、「ヤメー!」と合図するとこれまたドラムを叩くのをやめるという、そんなとこばっかり見ていたような気がする。


● ゴールディー (DJ)

デス・イン・ベガスが終わるとすぐにゴールディーのDJプレイが始まった。あまりにも速くセットチェンジが終わったので、「本当にゴールディー?」と疑いを持ってステージを見つめてたんだけど、前の方に行ってよーく見てみると、レコードを漁っている人はどうやら黒人っぽいので、どうやらステージ上にいるのはゴールディー本人であるらしいことをそこで確認。 

しかし、デスベガのステージが終わるや否や、とてつもなくアッパーな曲をかけ始めていきなりフロアの雰囲気を変えてしまったのはすごかった。もちろんお客さんはまばらだったけど、もう俺も「エイヤ!」って感じで、フロア前方で踊ってた。ドリンクを取りに2度ほどそこを離れたけど、なんか非常にフロアを離れづらい雰囲気があった。隣りでは某スヌーザーの編集の方も踊っていらっしゃり、なおかつ周りを見ればまばらながらもやっぱり踊り狂ってらっしゃる方々ばっかりという、なかなかハッピーな光景がそこにはあった。だからフーファイだけ見て帰っちゃった人は、もったいないよなぁ、と心底思った。 

だけどほんとゴールディーは、自分みたいなロック中心のリスナーにも分りやすい、「マジックロック」なビートで終始押し切っちゃったところが好感を持てた。 多分コアなトランスファンとかドラムンビートファンなんかには物足りなかったのかもしれないけど、フーファイのリスナー層を意識したかのように、うまく場の雰囲気を掴んでいたゴールディーのDJはさすがだなぁと、DJプレイど素人の自分には思えた。というかDJをやる時はもともとこんな感じの曲ばっかりやっている人なのかな?



以上で最初のマジック・ロック・アウトは終わったんだけど、とにかく快適でよかった。来年もやるとしたら、やっぱりこのぐらいの規模で、マッタリとやっていただきたいなと思っておるわけでありますが、できればフジロックもこのぐらいマッタリしてると嬉しいなぁなんて望むのは、もう儚いことなんでしょうかねぇ・・・。
 
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Last updated: 2003/02/12