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| Beck | Nobody's Fault But My Own |  |  |
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■ Reading Festival - 8/26/00
心身の疲労が最高潮に達していたときに回ってきたベックの出番。天気の移り変わりは激しいし、電車は立ちっぱなしだし、会場内では歩きっぱなしだし、足は痛いし、腰も痛い。フジロックでもサマーソニックでもこんな疲労は感じなかったのに、なんでここでそんなに疲れが・・・・???
早い話、心的なストレスによるものである。まずは、やはりどうにも馴染めない観客の雰囲気に対するストレス。これはこのレポにおいてまた後述する。 続いて、そんな周りの雰囲気を自らの力で打破しようとしない自分に対するストレス。これは3日目のレポにおいてまた記述する。 そして最後に、完全に自分だけで単独行動をしていたという、すなわち、こんなにすごいメンツですごいライヴを観てるのに、フジロックやサマソニと色々比較してみたいのに、それを語り合う相手がいないというストレス(だからここでこんなに書きまくっているとも言える)。雨が降っていたので腰を下ろしてうな垂れていたら、「ハーーーイ! わたしナンシーよぉ!」「ボク、ジョンーー!!」(握手を求めるので握手する)「あなた元気ぃ? オッケー? 大丈夫ゥ??」(訳が分からず、はぁ〜〜??って顔で2人を眺める)「キミさぁーーー、5分ぐらい前にここ通ったらやっぱり座ってたから心配になっちゃってさぁーーー!! 雨ん中ずっと座ってるし〜〜。なんかあったら声かけてねぇ!」・・・と言って瞬く間に去っていったのは、ヤクで目が完全にぶっ飛んでいる10代と思しき男女2人組。最初は「バカかあいつら〜!」と思っていたが、よく考えてみればラリっていたからこそ正直に思ったことを俺の目の前で言えただけで、つまり面と向かって言わないだけのことで、「こいつ独りで寂しそうにしてるなあ、なんだか疲れきってんなあ。」と通りすがりのみんなが思っていたのである。イギリスまで来て俺は相当情けないことになってんだなあ、と思うと、ますますストレスが溜まる筆者
なのである。
といった感じで疲労感たっぷりのフェス2日目、そのトリ1つ前に登場したのがこのベック・ハンセン。いきなりまた余談だが、このフェスにおいて、アメリカ、日本、イギリス3国でのライヴ体験を果たすバンドが3つある。フー・ファイターズ、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、そしてこのベックがそうだ。特にこのベックに至っては、HORDE フェス(米)、フジロック(日)、そしてレディング(英)という、各国の大型フェスにおいてライヴを体験できたという、自分の中ではなかなか貴重な位置付けにあるアーティストなのだ。それもすべてトリ1つ前の出演、というところが共通していて面白かったりもする。 いや、自分ひとりが面白がっているだけで、他の人にとってはどうでもいい話ではある。というかこんなことに気が付いたのはこの日のライヴの最中のことでもある。
さてそんなベックは、写真の通り、緑のシャツ。そしていきなり「New Pollution」&「Loser」という反則モノのヒットソング攻撃。しかし音圧がいまいちだし、そもそも音がグルグル回ってしまっていてどうにもあんまり気持ちが良くない。でもビジュアル的にはかなり健闘していて、曲の終わりで振りまくるタンバリンを頭上に持っていき、そこだけにスポットライトが当たってフェイドアウトするという演出が計算のもとになされていてかっこいい。歓声も上がる。・・・・・・いや待て。歓声が上がるのはいずれも、ベックがポーズを決めた時とか、寝っ転がった時とか、ハイジャンプして腹が見えた時とか、サックスソロで楽器の口のところにマイクを差し出した時とか、ギターでライトハンドした時とか、そんな時ばっかりじゃないか。
ベックの演奏中なのに、クラウドの中にどっかと腰を下ろして「ウィー・アー・ザ・ワールド」を音痴に歌いまくっている酔っ払いが数人。ベックの演奏中なのに、ゴミ箱の上に立って視界を塞いでいるどころか、ゴミを投げつけられているのに中指を立てて逆に挑発してくるオヤジが数名。意味なくひっきりなしに動きまくり、ぶつかってきて、そんでゴメンも言わない連中が大勢。 平和ボケしてんのかコイツらは。アメリカだったら速攻で撃たれてるぞ。
自身のグルーヴポイントを見失い、ただなんとなくボケっとしている自分も情けないが、とにかくベックのステージングが進めば進むほどストレスが溜まってきてしまう。「Debra」でステージに仰向けになって歌うベックの姿と彼のファルセットボイスに痛みも疲れもちょっと忘れかけたが、結構アッパーな「Nicotine & Gravy」や「Milk & Honey」なんかでも、さあ踊ろうぜ! といった感じになれないところが辛い。というか体を動かしている自分がバカみたいというか。ライヴをつまみにしてビールをチビチビやりながら、土曜の夜をのんびり過ごすのがここではクールなナイトライフの楽しみ方なのだろうか?
しかしそんな周囲のノイズが自分の耳から完全にシャットアウトされた瞬間があった。やはりそれは先立っての日本公演で感じた時と同じように、ベックが独りでステージに立ってパフォームした、「One Food In The Grave」の時であり、「Nobody's Fault But My Own」の時であり、「Jack-Ass」の時であった。観ている観ていないの類はともかく、6万人という観衆とハーモニカひとつで対峙するその姿を、ステージ後方からのカメラが克明に捕らえたあの映像を未だ以って忘れることが出来ない。左足のステップとハーモニカのアクセントだけですべてのノイズを掻き消してしまうこの大技。 一体どんな気持ちでベックはこんな観衆の前でギターを弾き語っているのだろう? 間違ったらどうしよう、なんてことは考えないのだろうか? 独りで寂しくなったりしないのだろうか? ストリートで弾き語りをしていたとき、「あんた寂しそうねーー。」なんて声を掛けられやしなかったのだろうか?
ショーのスタートから1時間10分が経過し、ちょっと薄っぺらい「Sexx Laws」が終わり、テープでもってステージ上の機材だけじゃなくカメラクルーをもグルグル巻きにした時も、ひたすら独りで作業をこなしているように見えたベック。長年付き合っていた彼女と別れてちょっと寂しかったのかな? だから弾き語りが心に染みたのかな? なんてのはかなり強引な持って行き方だが、俺もあなたも共にここでは所詮ただの外国人。そんなどうでもいいことに関してベックとの若干のシンパシーを感じながら、さらに重くなった体を引きずり回し切れずに、フィールドへとへたり込んでしまった筆者は単なるルーザー。
- New Pollution
- Loser
- Mixed Bizness
- Devil's Haircut
- Minus
- Nicotine & Gravy
- Debra
- Milk & Honey
- Tropicalia
- One Foot In The Grave
- Nobody's Fault But My Own
- Jack-Ass
- Where It's At
- DJ Swamp Solo
- Sexx Laws
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Page maintained by: Katsuhiro IshizakiLast updated: 10/ 2/ 00
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