Burps Online

Disc Review

- January 2004 -

And They Walked Away The Bandits

派遣で会社に来ている音楽に詳しい同僚が、飲み会の席で「イシザキさんって60年代の音楽好きっすよね。ハイヴスとか。」と言ってきた。どうやら自分のデスクトップパソコンのスクリーンセイバーがハイヴスだったからそんな話を切り出してきたんだと思うけど、「いや、60年代じゃないって。今のバンドよ。今のバンド。」と言ったら、「ウソ! マジで? ありゃどう聴いても60年代でしょ!」と言われてしまった。自分自身、有名どころを除いて60年代の音楽にそんなに詳しくないし、そんなに60年代の音が好きってわけでもないんだけど、まぁそう言われて反論する言葉もなく、「まぁそうかもなぁ〜。」と言うのが精一杯だった。60年代のガレージバンド=ソニックスやMC5あたりと聞き比べてみても確かにそんなに大差はないし、極論すればありゃあオールドタイプのエイトビートに歪んだコードサウンドが乗っているだけだからね。でもまぁそんなオールドタイプなロックンロールフォーマットが復活した90年代からロックンロールはまた面白くなってきたわけであって、自分はそれを否定するつもりはないし、好きなもんは好きなんだからしょうがねぇじゃねぇか、って感じなんだけれども。

そんないにしえのロックンロールを、究極にファッショナブルに鳴らしている(・・・「鳴らしている」=RO風。)のがこのザ・バンディッツ。「マーサ&バンデラス」みたいなバンド名もなんだか60年代っぽさに拍車をかけているような気もしないではないんだけど、この英国リヴァプール出身の5人組バンドを知ったのは、彼らのライヴをたまたまイギリスで見たEriちゃんが掲示板でそのバンド名を書いてくれたのがそもそものきっかけ。そしてすぐに彼らのオフィシャルサイトに行ってみると、なんとも太っ腹なことに、1stアルバムのほぼ全曲をフルで試聴できるではないですか。こんなことは日本のメジャーレコード会社にホストされている日本のバンドじゃありえない話だけど、もう何度かフルで全曲聞いてしまったので、いまだアルバムを実際に購入するには至らずっていうのはバンドのプロモーション的に果たしていいのか悪いのか・・・・。

バイオ的にいうと、20代前半のバンドメンバーは苗字がすべて「バンディッツ」さん。つまりバンディッツ一族から成っている身内バンドならしく、(ありがちな話だが)オアシスのノエル・ギャラガー一押しのバンドということで注目を集めつつ、(これまたありがちな話だが)レコード会社争奪戦の後、同じリヴァプール出身のザ・コーラルと同じレーベルからファーストアルバムを昨年リリース。それと前後する形で「T In The Park」や「Reading Festival」といったメジャーフェスに出演しつつ、そのEriちゃんの報告のように、様々なバンドのオープニングアクトを務めるなどしてイギリス各地を転々とツアー・・・といった感じでこれまで転がってきたようだ。ノエルのみならず、各メディアからの後押しもあって、今年2004年中のブレイクは確実とまで言われているバンドだから、今後色々なところで彼らの名前は頻繁に目にすることでしょう。

音の方はどうかというと、メンバーすべて楽器、コーラスともにそつなくこなす優等生タイプのサウンドで、「2 Step Rock」や「Number」といった典型的なロックンロールタイプの曲もあるけれども、どっちかというと「How Can You Believe」や「Once Upon A Time」のようなミドルテンポの牧歌的な音を特徴&身上としたバンドのようだ。レーベルメイトのザ・コーラルのことは良く知らないんだけど、「あぁ、なるほど。コーラルのサウンドもこんな感じなのね。」と逆にコーラルの音まで想像が付いてしまうようだ。オフィシャルサイトのバイオグラフィーには「ローリング・ストーンズの「ザ・ラスト・タイム」をカバーしていた・・・」といった記述もあってなるほどなぁ、と感じていたんだけれども、アルバムのプロデュースを手がけたのが70年代終わりから80年代初めまでストーンズサウンドに関わっていたクリス・キムゼイだったというところがこれまた面白く、当時としては最先端の音作りを身上としいていたクリス・キムゼイが、ここでは逆にオールドスタイルのサウンド作りに貢献しているのが非常に興味深い。

同じ60年代っぽいバンドサウンドでも、ハイヴスのように突出して面白い! と思わせるようなバンドではないけれども、60年代っぽくありながら逆に非常に00年代的なサウンドも感じさせてくれる稀なバンドだと思うので、日本のフェスなどに登場する前にぜひ何曲か聴いておいてみてください。



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Last updated: 01/26/04