Burps Online

Disc Review

- March 2004 -

Guilt Show The Get Up Kids

Guilt Show 会社近くのレコ屋で試聴した瞬間、久々にビッっときたアルバムがコレ。前作「オン・ア・ワイアー」の時点でもうすでに「メロコア」とか「エモコア」とかいう範疇をはるかに超えていたゲット・アップ・キッズだけれども、ここでまた一筋通った素敵なアルバムを届けてくださいました。

米国カンザス州出身のゲット・アップ・キッズは、メジャーデビューが比較的最近であるにも拘らず、本作品を含めてすでに5枚ものアルバムをリリースしているパンクバンドだ。自分が彼らの名前を知ったのは、2000年のレディングフェスティバルの時。別にライヴを観られたわけじゃないんだけど、「起きろ!キッズ」というわけ分からんバンド名がすごく印象的で、その後何気にアルバムを買ってみたりしたのが彼らとの馴れ初めだった。比較的ストレートなパンク色の強い楽曲が主だと思っていたんだけど、フジロック2002登場前に発表した前作「オン・ア・ワイアー」ではパンク色を微塵も感じさせないポップソングをメインに据えるという新機軸を打ち出して、個人的にも賛否両論といった感じの内容だった。要するに早い話前のアルバムはいまいち好きになれなかったわけで、フジロックでも彼らのライヴを観ることはなかったんだけれども、スマパンでいえば「アドア」、ストーンズでいえば「エモーショナル・レスキュー」、プライマルでいえば「ギヴ・アウト・バット・ドント・ギブ・アップ」みたいなもんで、次なる傑作を生み出すための過渡期みたいなもんだったのだろう。この「ギルト・ショウ」では、パンク路線に戻りつつ、なんか久々に自分の琴線+新しい感覚を呼び起こしてくれるような素晴らしい音を聞かせてくれている。

まず1曲目の「マン・オブ・コンヴィクション」がかっこよすぎ。ラフなツインギターにピアノまで被さっていながら、まったくうるさくないし、メロディもコーラスもかっこよすぎ。次の「ザ・ワン・ユー・ウォント」もそうなんだけれど、ピアノの旋律がほんと効果的で、頼りすぎることもなく、また逆に裏でいやらしく鳴っているわけでもなく、なんか初期のビートルズを思わせるほど曲に溶け込んでいて、これが他のパンクバンドとの差異を決定付けているなぁとさえ思えてしまう。

ギターも無理に歪んでなくて、ギターとアンプの鳴りをそのまま生かしたような気持ちの良いトーンを聞かせてくれるのがすごくうれしい。「ウドゥント・ビリーブ・イット」なんか究極で、終始まったく違うフレーズを弾いている左右のギターの絡みがすごく絶妙。その分、曲全体のコード感をピアノで出している。こういうのって、なんかバンドサウンド構築の基本でありつつも、こんなに気持ちいいもんだったんだぁと再認識させてくれているようだ。

「パンクバンド」というカテゴライズでありながら今どき曲の終わりがフェイドアウトしているものもあることに若干苦笑してしまったけれど、それはともかく、全体を通して聞いてみるともうこれは所謂「パンク」とかじゃないなぁ。インキュバスがもはや「ラウドロック」じゃないみたいに、ゲット・アップ・キッズももうカテゴライズ不可能なところまで来ている感じがする。きっとライヴ会場には、パンク少年達はもちろんだろうけど、普通にアメリカのポップが好きな人とか、ブリティッシュロックが好きな人とかも集まっても不思議じゃない。プレイしている側の楽しそうな雰囲気まで伝わってくるこのアルバムは、「パンク」と聞くと拒否反応を示してしまう人や、「今時のパンクはさぁ・・・」と冷めた感覚を持っている人も、ロックだのパンクだのグルーヴの定義だのという堅苦しいことを忘れて素直に入り込んでいける作品じゃないかなぁと思う。こういうのがきっかけでイマドキのロック&パンクと接点が持てるようになれば、また新しい音楽観と音楽体験が開けてくるかもしれないな。



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Last updated: 03/14/04