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- April 2006 -
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Love Travels At Illegal Speeds
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Graham Coxon
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イギリスの新人バンドのレコードを買ったつもりが、家に帰って袋から取り出してよくよく見たらこのアルバムだった。何の勘違いか知らないけど隣に置いてあったレコードを手にしてレジまで持っていってしまったらしい。要するに手に取った CD を間違ってしまったわけだけど、これがクイーンズライクやデフレパードの新譜だったら返品してたかもしれないが、不幸中の幸いなのか幸い中の不幸なのか、手にしたのはグレアム・コクソンの新譜だったということで、これも何かの縁と思い、ここにレビューを書き残すことにする。
このレコードを聞く直前に、CD プレーヤーのトレイに乗っていたのはエリック・クラプトンのアルバムだった。昨年後半にクリーム再結成の DVD を観てから何度目かのマイブームが来ているのだが、グループとして成功したギタリストが、ソロとなってセールス的に成功を収めるケースは極めて少ない。イングヴェイやスティーヴ・ヴァイのようにギターの音数で勝負している人達は思いつくものの、ギターだけではなく歌も聞かせられることで一般に知られている人といえば、ジョージ・ハリスンやピーター・フランプトンがギリギリ入るか入らないかぐらいで、「元○○バンドの・・・」という肩書きを背負わずにそれなりのセールスを維持しているのはクラプトンと布袋ぐらいしか知らない。
もし会社なり学校なり何らかの組織を辞めたことのある人なら、辞めたことが正しい判断でありその後の自分の充実度が高ければ高いほど、恒常的なものであれ一時的なものであれ「元○○の・・」という肩書きを付けられるのはとても嫌なものだと思う。「元○○だから。」と決め付けられたり、また他人の過去の肩書きに対して逆にコンプレックスを持つのも嫌なもの。過去の肩書きが役に立つこともある一方で、まとわりつく「元○○」を受け入れるのも容易なことではないだろう。雑誌のインタビューなど読んでみても、グレアム自身もそれを相当嫌がっている節がある。
クラプトンを「元クリームの」と必ず呼ぶ人はいないだろうしそう呼ばないとクラプトンを認識できない人はいないだろうが、グレアムを「元ブラーの」と呼ぶ人はたくさんいるだろう。統計を取ったわけじゃないけど、実際に「元ブラーだから」グレアムの CD を買う人はたくさんいるだろう。逆に言うと、グレアムを最初に知り、彼の過去を遡ってブラーを知る人はまだ少ないだろう。自分のように間違って CD を手にしてしまった人もきっと少ないだろう。
「元ブラーの」という肩書きなしでグレアム・コクソンが語られる取れる日が来るかどうかは分からない。むしろ可能性としては低いかもしれない。実際クラプトンから「元クリームの」という肩書きが取れるようになるまで何年かかったのかも実はよく知らない。肩書きが取れてもなお、というか取れるとなおさら、曲の演奏のリクエストや再結成・再加入のオファーが来るかもしれないし、逆に自分からやってみようと思うタイミングが来るかもしれない。「元○○の」という事実は他人の記憶から消し去ることはできないし、自分の記憶からも消えない。ソロで活躍すればするほど彼の過去のバンドが逆に伝説になることは、ロックの歴史の常であるから。クラプトンもその例外ではない。
ミュートの利いた半音下げパワーコードのギターリフ。フィルイン要らずでひたすらエイトにまい進するドラムビート。コードチェンジ直前に思い出したようにうねるベース。そして頼りなさを超えるほど不安定なボーカル。すべての楽器をグレアム本人がプレイしているという正真正銘グレアム・コクソンのエッセンスで満たされているこのアルバムは、ブラーであることをひたすら隠蔽するが如く匿名的に活動しているゴリラズというバンドの仮面的な音と対極を成しているようで面白い。短期の出張中の限られたホテル滞在時間内に目にするぐらい、グレアムの前作のシングルはアメリカでもプロモビデオが頻繁に流されていたようだし、ゴリラズの成功はブラーの人気を軽く凌いでいるという状況を考えると、ブラーの唯一のアメリカでのスマッシュヒットであり、なおかつメジャーリーグのスタジアムでよくかかる「ソング2」も、「これはゴリラズのメンバーとグレアムがかつて在籍していたバンドの曲。」ということで認識されるようになるかもしれないな。
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Send comments to: Katsuhiro Ishizaki.Last updated: 04/26/06
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