|
|
 |
 |
- June 2001 -
|
Rodeo Tandem Beat Specter
|
Thee Michelle Gun Elephant
|
|
ヘッドフォンでミッシェルを聴きながら、約束のオフィスへと向かう自分。 名目上は新規事業に関する打ち合わせということだったが、「会社を辞めます」という一言を伝えるために、そしてその「辞めます」という言葉を正当化するために、わざわざアポを取って社長に会いに来た。そしてオレはきっぱりと言った。「給料安すぎだよオッサン! それになんでオレばっかそんな貧乏クジ引かなあかんの? 誰か他の人を探した方がいいんじゃないですか? オレが辞めればそのぐらいの余裕はすぐにできますよね。もうあなたの夢物語は聞き飽きたしさぁ。ってことでサヨウナラ。お世話になりました!」
・・・ってなことをペラペラと言えたらどんなにスッキリしたことだろう・・・・・。
「辞めるかも」といったニュアンスを含ませる言葉はいくつか言えたものの、
社長:「ま、そういう色々な動きがあるってことで、ちょっと考えといてくれな。」 Kats:「あ、はい。」
という無難なやりとりで、2時間に渡るミーティングは締めくくられてしまった。
一応「辞めるための」傾向と対策は行ってきたつもりだったのだが、「ここでツッコまれたらうまく言えないかもなぁ・・・」と思っていたところはすべてツッコまれ、肝心の「給料安すぎ。」という部分に関しても、「だからおまえが頑張ればいいじゃねえか。1000万だって稼げるぞおまえ〜。」という当たり前の切り返しにうまい反応が示せず、「○○スクールと△△△スクールと□□スクールと海外の○○スクールとを、全てお前に先頭切って見ていってもらいたいんだ。」という誰もやったことのないいきなりのムチャクチャな要求にも、「俺は期待されてるんだなあ。」といった有りもしない自尊心をくすぐる巧妙な話術が反論を許さず、「海外の仕事か。そうか。そんな仕事ならすぐあるぞ。ほれ。」と即座に目の前に提示され、「なるほど、そういやあったな。」と深く頷く、まるでなすがまま&言われるままの自分は、愛の貧乏脱出計画並みに情けない。
昨年3月
のミッシェル・ガン・エレファント「カサノバ・スネイク」レビューは、とある教育関連の部署から、それとは業務内容の180度異なる製品開発・評価の部門へのいきなりの配置換え・・・それも金曜の午後に初めて言い渡され、翌週の月曜から新業務開始という、企業の常識では考えられない配置転換・・・・・直後に書かれたものであった。当然の如く、バイト以下の働きしかできないレベルからのスタートだったものの、それから1年半近く経ってみると、ロックのことを考え、ドラムのフットワークの練習をしながらでも業務を無理なく潤滑に遂行し、人の指導・管理もできるようになっていた。しかし自分のスキルレベルが向上したというよりも、手の抜き方を覚えてしまったという実感から自己嫌悪に陥ることもしばしばである。なおかつクライアントからそれなりの信用と成果とは勝ち得ているものの、利益が従業員の給与にまったく還元されていないという現状にひどい不満を感じていた。
そしてそんな矢先、掲示板でもそれとなく書いた通り、ふとした機会から、自分に対して今以上の評価を与えてくれる企業からいくつか前向きな話を頂いた。 まあ、その会社に入るかどうかはこれからの展開次第なのだが、「今のオレの市場価値は一体どのぐらいなんだろう?」ということを測り直すためにも、少なくとも今の会社は離れるべきだろうと思った。自信はないけど、とにかく今のままではダメだと思った。
だから今日のレビューでは、「ロデオ・タンデム・ビート・スペクターを聴いて社長に会い、辞表を叩きつけた。」と書くつもりで、ミッシェルの新譜という素材を用意するつもりだった。 しかし結果として、ミッシェルは聴いていったものの、「辞める」と言えずにオフィスを離れたことは前述した通り。 「それやるのいやです。」「じゃあこれどうだ?」「ちょっと気が進みませんね。」「じゃあこうやってみたらどうだ?」「なんかうまく行きそうに思えませんね。」・・・・・・って客観的に見たら、てめえ何様だ!!と言われても仕方がないような後ろ向きな返答を繰り返した挙句、「辞めたい」という直接の意思表示をすることができなかった。(でも社長はうすうす感じ取っていたようだが。)「自分の価値を高く認めてくれるところがあるので、そちらへ行かせてもらいます。」という筋すら通せず、なんだか無茶苦茶ルーザーで、非ロック的に自分の振る舞ってしまったような気がした。
しかし、現状維持を目指す片手間な仕事を、永遠の薄給と共に続けたくもなければ、ましてや1年半前まで担当していた教育業務に復帰、という刺激に乏しい道に後戻りしたくもない。
もう1度社長と会うとき、またロデオ・タンデム・ビート・スペクターを聴きながら行ってみよう。前向きに生きるための岐路において、自分にとって正しいと思える選択を、自らの手によって勝ち取ることができないまま、ミッシェルファンでいることはできない。
| Disc Review Top | Home |

Send comments to: Katsuhiro Ishizaki.Last updated: 6/5/01
|
|
|