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- July 2001 -
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昨日、PGAツアーミルウォーキーオープンで、日本人の丸山茂樹選手が初優勝した。 アメリカの男子プロゴルフツアーで日本人が優勝したのは、83年のハワイアンオープンを制した青木功以来、実に18年半ぶりのことである。 言うまでもなく、アメリカのプロゴルフツアーを制するということは世界のゴルフ界を制するとほぼ同じことであり、言ってみりゃあ全米ビルボードシングルヒットチャートの第1位になるのと同じことである。そして先週は、日本人の丸山茂樹のプレーが、全米ビルボードヒットチャートの第1位に輝いたわけである。つまりこれは坂本九の「上を向いて歩こう」以来のスーパー大快挙なのであり、まあ全米オープンやマスターズといったメジャー大会で優勝したわけではないのでマイケル・ジャクソンやブリトニー・スピアーズに並んだとまでは言わないが、少なくとも丸山茂樹は坂本九には並んだのである。しかも青木の優勝したハワイアンオープンが春先のオープン戦的ニュアンスの強い大会だったのに対して、丸山が勝ったのは、全米ツアーのど真ん中の試合であり、なおかつそれもアメリカ本土での堂々たる優勝だったのである。 いや、とにかく、すごいことなのだこれは。
しかしそのすごさを伝えるべきニュースステーションがなんなんだありゃあ!! オリンピック翌年でやる気なしの選手ばかり集まった、「ゆ〜め〜じゃな〜い、あんれんもこんれも〜♪」の世界水泳だぁ??? ビーズの曲と共にイアン・ソープ福岡入りの映像流すぐらいなら丸山特集やれこのやろ。 イチローは確かにすごいが、5打数ノーヒットの試合見せるぐらいなら丸山出せよ。
アメリカのプロゴルフというのは、あっさり断言すれば、白人至上主義の保守的なスポーツだ。ジャック・ニクラウスと青木功が世紀の死闘を演じた80年の全米オープンでは、ニクラウスのプレー中にはシンと静まり返っているにも関わらず、青木のプレー中にのみヤジに近い声を上げたり、喋り声を止めなかったり、近くを動き回ったり、失敗に対してあからさまな拍手をしたりと、白人にとっては「よそ者」の日本人青木に対して、無神経なギャラリーの振る舞いが目立ち、それが勝敗を分けたのではないかとまで言われている。(しかし、そんな振る舞いに対し青木は、「逆にオレに対する声援だという風に考えて」プレーを続けたそうだ。)「あのファッキン・ジャップに対して声を出してみろよ。バカだからすぐにこっちに手を振るぜ。」「お、そうかい。ほんじゃ・・・・・『ジャンボーーー!!』」 ・・・・これを自分に対する歓声だと思い込んでバカ正直に手を振る尾崎将司は、アメリカツアーでベスト5にすら入ったことがない。
同じアメリカ人でも、肌の色が違うというだけで常に身体的危険に晒され、テレビ画面には映っていないが、いつも4〜5人のボディガードと一緒にラウンドしているタイガー・ウッズも、そんな差別的な扱いを受けてきた1人である。 平等に扱え、などと言う気持ちはさらさらないが、そんなことよりもむしろ、結果としてそんな保守的な白人達を蹴落として1番になっている丸山やタイガーはすごいと思うし、同年代の人間として尊敬すら覚える。
エミネムは白人だからラップの世界で売れた、などと言う人がいるが、そんなに簡単なものなら、じゃあなんで今まで白人ラッパーは売れなかったの? と聞きたい。 黒人がやるもんだと決まっていたヒップホップの世界で売れたエミネムに対しては、丸山やタイガー・ウッズに近いものを感る。 「お決まりのものを打ち破る」ことの最たるものが「人種の壁を打ち破る」ということだと思っている自分にとって、丸山もタイガー・ウッズもエミネムも、みんなロックだ。
エミネムの歌詞は過激だ、という人も多いが、彼が実際に経験し、歌詞の中でも歌われている、虐待、ドラッグ、離婚、ゲイ、銃・・・・・・・・・どれもこれも程度の差こそあれ、今のアメリカではそんなに珍しいことではない。むしろそういうことを経験している人間ほどお決まりのものを打ち破る傾向にあるようで、自分が米国に居たときに、上辺ではなく、本当に自分に対して親身になってくれたアメリカ人は、みんなそんなことを経験したやつばかりだった。 一時期部屋をシェアしたルームメイトは、クスリを絶ってからも目の下のクマが取れないほどのヤク中だったし、アメリカ到着後、自分に最初に声をかけてきた黒人は、幼少時に虐待を受け、性的に倒錯し、男とも女ともセックスできるようになってしまったそんなやつだったし、女友達はみな離婚経験者だった。テキサスの片田舎のような保守道ど真ん中なところにいると、こんなへんてこなアジア人と親しくしてくれるやつは、みな何かしらの傷を負ったアメリカ人ばかりだ。だからエミネムが白人よりも黒人達とつるんでいたというのも非常に分かるような気がしているし、自分を健全だと思い込んでいる保守的で差別的な多くの白人が、自分の狭い良識や範疇では理解不可能な変な白人=エミネムを攻撃するのも納得ができる。・・・彼はロックだから。
D12はそのエミネムを含む6人組のヒップホップグループ。エミネム以外のメンバーはみな黒人(=非白人)であり、10年程前デトロイトで出会ったのがグループ結成のきっかけ。 この6人のメンバーのうち誰かが商業的に成功したら他のメンバーを呼び寄せるとの誓いの元にグループは成り立ってきたのだが、この度めでたくエミネムが売れたため、彼自身が設立したレコードレーベルからの第1弾アーティストとしてD12のこの「デヴィルズ・ナイト」をリリースした、というのがD12の現在までの簡単なバイオ。
まあなんとなくうまく出来すぎた話のような気もしないではないが、とにかくこのアルバムは「ヒップホップは黒人のもの」という概念を打ち破るべく、アレンジの仕方がなんとなくポップな感じで、普通のギターロックファン達にも聴き易い作品になっている(と思う)。リンプ・ビズキットの曲の歌詞もさりげなく挿入されていたりして、ちょっと笑える部分も含まれているが、エミネムのライムが切り込むと、曲の雰囲気がガラっと変わるところもこれまた面白い。
もちろんこのアルバムは、発売直後にビルボードアルバムチャートの1位を獲得。
とにかくそのエミネムが間もなくD12とともにやってくる。楽しみだ。
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Send comments to: Katsuhiro Ishizaki.Last updated: 7/18/01
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