Burps Online

Disc Review

- August 2001 -


十四才 ザ・ハイロウズ


十四才 正直疲れていた。

仕事は問題山積みで、一つ解決したと思った頃に、また次のが発生する。
家庭の方だって、こっちはこっちで、姉の嫁ぎ先の母が亡くなったり、
3人の子供がそれぞれに我儘し放題だったりして、気の休まる時がない。
その上、少ない休日にもいろんな行事が重なってしまい、家族と過ごす時間が取れなくなっていた。
嫁さんも仕事と育児のストレスが溜まっている。
お互いに突っ込んだ話をしなくなっている。
泣き言は言いたくないけど、もっと時間が欲しい。
心底安らげる時間、家族とのんびりできる時間が欲しい。

2年前と比べて、体重が4kgも増えている。
社会人になってからだったら、約10kgだ。
運動しなきゃ、と思っていても時間が取れない。

何年か前から、朝、妙に涙もろくなっている。
NHK朝の連ドラを見て泣いたり、「おじゃる丸」を見ただけでも、何回か涙ぐんだ事があった。
理由はわからない。
でも、自分の中では確実に何かが変わっている。

最近、通勤に自転車を使うようになった。
と言っても週に2回程度。会社まで片道30分ぐらいだ。
日頃の運動不足を少しでも解消したいからなんだけど。
でも、ビールを止めない限り、痩せるはずがない。

今朝も自転車に乗った。
車のオーディオが壊れていて、聞きたかったCDが聞けなかったせいもあって、
ハイロウズのシングル「十四才」をMDに落としてサドルに跨った。
タイトルからして「青春」*1 に続くような、ノリのいい学園モノだと勝手に考えていた。

イントロはマーシーの静かなソロから始まる。
そして、ヒロトのボーカルが淡々としたメロディを歌う。


' ジョナサン 音速の壁に
 ジョナサン きりもみする
 ホントにそうだよな どうでもいいよな
 ホントにそうだよな どうなってもいいよな'



それから、ヒロトとしては初めての、メロディもない叫ぶようなボーカルに変わる。
ポエトリー・リーディングのようだ。


' 一発目の弾丸は眼球に命中
 頭蓋骨を飛びこえて 僕の胸に
 二発目は鼓膜を突き破り やはり僕の胸に
 それは僕の心臓ではなく それは僕の心に突き刺さった'



そして、サビのフレーズ


' リアル
 よりリアリティ
 リアル
 よりリアリティ
 リアル
 よりリアリティ
 リアル
 よりリアリティ
 リアル'



これまでの「ロック・バカ」な曲調ではなかった。
もうこの時点で、ペダルを漕ぎながらウルウルしていた。
ヒロト、お前よくここまで詩人として、表現者として成長したなぁ。
'吐き気がするだろ みんな嫌いだろ' *2
なんて歌ってた君も好きだけど。

そして、信号待ちをしている時に、目から流れ出ているものを止められなくなっていた。
もう少しで声を上げそうだった。
最後のフレーズだ。


' あの日の僕のレコードプレーヤーは
 少しだけいばって こう言ったんだ
 いつでもどんな時でも スイッチを入れろよ
 そんな時は必ずおまえ 十四才にしてやるぜ'



あいかわらず状況は変わらない。
今更十四才に戻りたいとも思わない。
人間的にも社会的にも十分大人な自分がいる。

でも、この曲を聴いたとき、俺はヒロトのファンで良かったと思った。
ロックを初めて聞いて衝撃を受けた時、それは俺が十五歳の時だったけれど、
今だって、ロック聞いた時だけでも、十五歳に戻ったっていいよね。
こんな気持ち、うまく言えた事がない。(オイオイ)

9月に入ったらアルバムが発売される。
マーシーがどう出てくるか、それも楽しみだ。





 *1 - 2000年5月発表のハイロウズ14thシングル
 *2 - ブルーハーツ1stアルバム収録「パンク・ロック」から



| Disc Review Top | Home |




Send comments to: Mizukai Hisao.

Last updated: 8/27/01