Burps Online

Disc Review

- September 2001 -


Since I Left You The Avalanches
Is This It The Strokes
White Blood Cells The White Stripes


平素から英国ロック最新情報をお届け頂いているNMEさんにその感謝の意を込めているわけではないのだけれど、青田買いの本家本元でその影響力は日本のメディアにまで及ぶNMEが、今年2001年にプッシュして来たアーティストの中で特に気になるバンドを紹介したい。

まずはオーストラリアはメルボルン出身のアヴァランチーズ。本国でのヒットを受けてイギリスのメジャーレーベルからもリリースしたら、当のNME誌からの後押しもあって、あれよあれよという間にナショナルチャートベスト10入りを果たす。しかし自分の目をひいたのは、そんなチャートアクションでもなければ彼らの音でもなく、ただ単に白人のメンバーの中にアジア人が2人含まれていたということ。特に雑誌でバカっぽい満面の笑顔でいつも写っている若干アフロなアジア人、これが気になってしょうがなかった。「おや、これは日系人か?」と思ったらどうやらフィリピン直系ということでさらに気になってしょうがなくなったアヴァランチーズ。 バンドは男6人だし、さぞかしハードなロックバンドなんだろう、と思いながらネットでシングル「Since I Left You」をダウンロードして聴いてみたら、その予想は見事に覆されてしまう。 「しんさい〜、れふちゅ〜♪」という甘い切ない女性ボーカルの声をフィーチャーしたダンスミュージック。「誰の声なんだこれは? どこがバンドサウンドなんだ?」とか思いながらヘッドフォンででかい音で聴いていると結構気持ちいいので、ついに彼らの同名アルバムまで買ってしまった。聞けばなんと900もの素材を元にしたサンプリング技術を駆使したアルバムだそうで、なるほど聞いてみればほとんど曲間なしで繋がっているパーティーアルバムの中に、マドンナの曲はモロに出てくるし、デ・ラ・ソウルも入っているな・・・・って具合で結局、2/900、約分して1/450しか元ネタを見つけられずに完敗。

リガージテーター、パウダーフィンガー、ガーリング、28デイズといった、本国オーストラリアではすでに高い認知度を得ている(という話の)バンド達が大挙して招かれた今年のフジロックから、なぜか選に漏れてしまったこのアヴァランチーズ。今年のオージーインヴェイジョンを代表する選手だけに、どうせなら彼らも加えて欲しかったところだが、そのどのバンドよりも早くこの10月に来日公演が決定してしまった。 レコードとライヴとではこれまた全然違った変態ぶりを顔を見せる(という話の)アヴァランチーズだけに、観に行きたいのは山々なんだけど、個人的に先が見えない上に、東京地区は平日公演だからして、参加はかなり不可能に近いかな、といった感じなのがちょっと悔しい。 AC/DCならハードロック、メン・アット・ワークならテクノ、イン・エクセスならロック、シルヴァーチェアーならグランジ、といった風に既存のカテゴリに分別しやすい印象のあったこれまでとはまったく正反対の、とにかくなんでもありのバンド勢力が豪州から台頭している昨今、ヴィジュアル的にもかなり面白そうなアヴァランチーズの旬を捕らえるのは、今しかないのかもしれない。




そして次は、サマーソニック2001を見事にバックれたザ・ストロークス。これもまた英国NME誌が大々的に取り上げ、それが日本のメディアの反応を煽る形で盛り上がっているバンドだ。しかもどういうわけだか、というか英国内の(ハード)ロックバンドの不毛さ加減に業を煮やしたんだかなんだか、これは米国はニューヨークからとっ捕かまえてきた新人ロックバンドだったりする。 自分も、サマーソニックに出るというのでやはりネットからダウンロードして2曲ほど予習していたのだが、とにかく最初はモノクロームで平面的な印象を受けた。 ニューヨークパンクからガレージパンクあたりに意識が向いているようなシンプルな、ほんとにシンプルなギタートーンと、一見イギー・ポップやジム・モリソンを彷彿とはさせるものの、そこまでアクが強いわけではなく、決してバンドサウンドよりも前には出ようとはしないボーカル。 この平坦な印象はスタジオ録音盤だからだろう、ライヴになったらもっと立体的にバンドの姿を捕らえられるだろう、と思って期待していたサマソニをキャンセルしてしまってガッカリ。 その後発売されたこの1stフルアルバムでもその平坦な印象は拭えず、とは言っても平面だからといって嫌いなわけではなく、もっとうまくプロデュースしてパッケージングすれば大化けするかもな、といった期待が見えるような絵なんだけれども、うんにゃろ、とにかくライヴを観ないと話にならないバンド、それがこのストロークス。 まあ今のメディアの取り上げ方からすると、単独公演も近いかな、といった気はしている。




最後に取り上げるのがザ・ホワイト・ストライプス。(まだ日本盤が出てないから英語表記が正確なんだろうけど。) これもやはり英国NME誌がスクープ的に取り上げることで世の注目を浴びんとしているバンドである。 そしてこれまた米国で活動中のバンドで、デトロイト出身の男(=ギター)女(=ドラム)ユニット+サポートメンバーによって構成されているグループなのだが、はっきり言って音はストロークスよりもかっこいい。んでもって絶対にこっちの方が日本人向けだと思う。いや、でもヴィジュアル的にはストロークスの方が向きかもな・・・。 「Sympathy For The Record Industry」という何ともいい感じの名前のレーベルからすでにかなりのアルバム&シングルをリリースしているバンドだけあって、ガレージ&パンク系の音をルーツとしながら、演奏的にはかなりこなれた印象を受けると共に、例えとしてはいかにもありがちなニュアンスで申し訳ないけれども、時々レッド・ツェッペリンあたりの1枚目を思わせるような展開があったり、ジョン・レノンがやりたそうなロックンロールがあったりと、とにかく多彩な印象を持ちつつ、ライヴも結構すごいかもな、との期待も同時に抱かせる音だ。 「イギリス発のブライテストホープ!」って感じでわが国の英国大好き少年少女をうまいこと丸め込むことができれば、かなりの線で商業的成功も期待できるバンドである。




英国内ではなく、その触手を海外に向けて、売れる戦力を奪取しようとしているNMEが取り上げてきたグループには、上記のように今実際に国内マーケットで売れているバンドもあれば、リスナーによってハイプかリアルかふるいにかけられているバンドもいる。 しかしいずれにせよ、アメリカ南部出身のトレイル・オブ・デッド、オレゴン州出身のダンディ・ウォーホールズ、カンザス出身のゲット・アップ・キッズと、イギリスのメディアがまず目をつけたバンドには面白いものが多かったりするので楽しみだ。






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Last updated: 9/1/01