ジミ・ヘンドリックスとジャニス・ジョップリンはともに1970年に亡くなっている。それもともに薬物の過剰摂取が主な死因とされている。おまけにそれは両者とも27歳の時だったというのだから、なんか恐ろしくなってきてしまう。ただ両者の共通点はそれだけではない。ジミは故郷シアトルを離れイギリスへ、ジャニスはテキサスを離れてサンフランシスコへ渡ってから、それぞれ大成功をおさめているのだ。ここで紹介する彼らの2枚のライヴアルバムは、その大成功をおさめた新天地で収録された貴重な歴史的名盤なのである。
まずジミ・ヘンドリックスのイギリスのラジオ番組向けのスタジオライヴをおさめたBBC Sessionsだ。このBBCシリーズはビートルズ、レッド・ツェッペリン、イエスなどでもうお馴染みであろう。リマスターされたその音質の良さはすでに実証済みであるが、正直なところこのジミヘンの一枚は他の彼のライヴアルバムと比べて、音質的にはそんなに違いはない。ただしもうここで言うまでもなく、彼のギター、そしてバンドの叩き出すエネルギーはお話にならないぐらいすごい。これ以上の形容はなにも意味をなさない。文字ではとても表せない。もう聴くしかない。
で、個人的に何が印象的かというと、まずはボブ・ディランのカバーはディランに、マディー・ウォーターズのカバーはマディーに、それぞれなってしまうジミの声もさることながら、とにもかくにもビートルズのカバー「デイ・トリッパー」のジミのパフォーマンスである。何を隠そうBBCのこの曲、ブートレグではお馴染みの定番の一曲で、数年前初めてこのヴァージョンを友人から聴かされたときには、その友人とともにまるで狂ったかのようにこの曲を大音量でプレーしてしまったのだ。それほどすさまじい説得力を持つこの曲は、もうオリジナルのビートルズなどとても聴く気になれなくなるほどの圧倒的でとてつもない、アホのような、核実験などまったくもって子供のお遊びぐらいに思えるような、そんな感じで迫り来るショッカーだ。とても文字ではこのすごさを表せない。やっぱり聴くしかない。
|